少年事件
少年事件
弁護士の役割

未成年である少年が刑事罰相当の事件を犯した場合、少年審判にかけられる事になります。(刑事裁判を受ける場合も例外としてあります。)
精神的に未成熟である少年は、留置施設での生活や捜査員からの取り調べ・対応に耐えられず、また捜査員の誘導などの要因で事実と違った不利な自白をしてしまう事も多々あります。
少年にとって不利な状況や不安な気持ちを早い段階から取り除くためにも、刑事事件同様、一刻も早く弁護士を付ける事が重要となってきます。
少年を精神的にフォローし、更生への道を少年と共に考えるのも弁護士の役割であると思っています。
少年が真剣に立ち直りたいと言う意志を導き出し、少年にとって有利な情状を少年審判において上申します。
少年事件-少年事件で逮捕をされると
14歳以上20歳未満の未成年が、刑事罰に該当する犯罪行為を行った場合は、家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所で、保護処分が必要である認められた場合、裁判所の審判を受けることになります。この審判の過程で、少年に対し保護処分の必要性が問われます。保護処分の必要性がないと認められた場合は、不処分とし、保護に処さない旨の決定が下されます。
※保護処分が必要と認められた場合は、少年の以下の何れかの保護処分が決定されます。
保護観察処分
保護司の観察のもとで少年が更正することが可能と認められる場合
児童自立支援施設又は児童養護施設に送致
少年を取り巻く環境を重視し、施設における生活指導を要すると認められる場合
少年院送致
強制力によって少年を施設内に拘束し、矯正教育を与えることによって非行少年を社会生活に適応させる必要があると認められる場合
少年院
- 初等少年院:14歳以上おおむね16歳未満の者を収容する。
- 中等少年院:おおむね16歳以上20歳未満の者を収容する。
- 特別少年院:犯罪傾向の進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者を収容する。
※16歳未満の少年院収容受刑者も収容できる。
- 医療少年院:心身に著しい故障のある、14歳以上26歳未満の者を収容する。
最終処分を保留にし、少年を釈放して少年の生活を観察する在宅試験観察という決定も下される場合もありますが、実例としては、かなり少ないのが実情です。
この在宅試験観察とは、家庭裁判所の調査官の観察に付し、一旦身柄を解放され、家庭裁判所調査官が少年に対して更生のための助言や指導を与えながら,少年が自分の問題点を改善していこうとしているかといった視点で観察を続けます。この観察の結果なども踏まえて裁判官が最終的な処分を決めます。
少年刑務所
犯罪を犯した少年に対し裁判所が保護処分(保護観察や少年院送致など)ではなく処罰を与える(禁固刑、懲役刑)のが妥当と判断した場合には少年刑務所に収容されます。また少年刑務所は一般の刑務所に比べて所内でのルールなどが厳しいとされています。
少年事件の付添人
国選付添人制度
一般の刑事事件の国選弁護人制度と同様に、少年事件にも国選付添人の制度があります。
しかし、現在の国選付添人制度は、検察官が関与する事件や、被害者等から審判傍聴の申出があった事件を除き、重大事件(殺人や強盗など)に対象が限定され、家庭裁判所が必要と認めた場合にのみ裁量で付添人を付すことができるのです。
実際、身柄を拘束されている少年の全体の4割程度、少年審判を受け全体の8~9%にしか、国選の付添人は選任されていません。
成人の刑事事件の国選弁護人の選任率が99%に近い数字ですので、少年事件のそれと比較すると、かなりの差があります。
現在、各都道府県の弁護士会などで、国選付添人の対象範囲を拡大するように国に働きかけていますが、まだ制度の充実が図られていないのが現状です。
私選付添人
国選の付添人の対象が狭い事から、少年事件では、私選の付添人を付けることが多数です。
成人刑事事件の弁護人と同様に、少年の更生や将来を考慮すると、私選付添人をお勧めしたいところですが、経済的事由などで、付添人を付ける事ができない少年も多々います。
少年事件の流れ