少年審判
少年審判
少年審判とは

満20歳に満たない者で罪を犯した少年(犯罪少年)、法令上犯罪に当たる行為をしたが、14歳未満のため罪を犯したことにならない少年(触法少年)、あるいは将来罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがあると認められる少年(ぐ犯少年))の起こした事件で、家庭裁判所が受理したものについて、一定の調査をうけて、少年の非行事実および要保護性について審理・判断を行う手続きのこと。
全件送致主義
成人の刑事事件の場合、軽微な犯罪で被疑者の性格や年齢、生活環境などを考慮した上で警察の裁量で検察へ送致しない微罪処分、検察官の裁量で起訴をしない起訴猶予処分などの対応があります。
しかし、少年事件においては捜査官の裁量に相応するものはなく、警察官または検察官は少年が犯罪を犯した疑いがあると思われる場合には、その全てを家庭裁判所へ送致することになっています。
簡易送致
少年事件の中できわめて軽微な事件について、要保護性の必要がないと認められる場合には、少年事件簡易送致書を作成し、書類のみが検察官、家庭裁判所に送られます。
家庭裁判所は受理した事件の事件記録簿、裁判所の調査官の調査結果を検討した上で審判の開始・不開始を判断します。 審判の開始が決定し、非行事実が認められ保護処分に付するのが相当と認められた場合には、保護観察処分、児童養護施設送致または児童自立支援施設への送致、少年院送致の何れかの処分が言い渡されます。
また少年の罪状や情状などから刑事処分が相当と認められた場合には、検察官へ逆送され刑事事件として地方裁判所へ起訴されることとなり、成人の刑事事件と同等の扱いを受けることとなります。
少年審判の決定-不処分
少年に非行事実がない場合や、少年に再非行の恐れがないと判断された場合に不処分となる場合があります。
少年審判の決定-保護観察処分
少年を刑事施設や少年院などの施設に収容せず、法務省機関である保護観察所の保護観察官や民間人である保護司が社会生活の場においてその円滑な社会復帰のために指導・監督や補導援助を行い更生を図る処分です。
保護観察の期間は、原則として少年が成人に達するまでですが、保護観察を継続しなくとも確実に改善更生することができると認められる場合には、保護観察所の長の解除の決定により保護観察は解除されます。 逆に遵守事項に違反をすると児童自立支援施設若しくは児童養護施設への送致、少年院への送致となる場合があり、また虞犯事由がある場合には、家庭裁判所へ新たな保護処分が求められる場合があります。
少年審判の決定-児童自立支援施設又は児童養護施設送致
不良行為や家庭環境、その他の生活環境などの理由から特別な生活指導を要すると判断された少年を入所させて保護、教育を行い自立支援を行います。
少年審判の決定-少年院送致
少年院での矯正教育が有効と認められた少年を収容し、規律のある生活を送り、社会生活に適応させるため、生活指導や義務教育で必要な教科や職業の訓練を受けます。
少年院には4種類あり、男女それぞれの収容施設が設けられている。
- 初等少年院
- 心身に著しい故障のない、おおむね12歳以上おおむね16歳未満の者を収容
- 中等少年院
- 心身に著しい故障のない、おおむね16歳以上20歳未満の者を収容
- 特別少年院
- 心身に著しい故障はないが犯罪傾向の進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者を収容
- 医療少年院
- 心身に著しい故障のある、おおむね12歳以上26歳未満の者を収容
少年審判の決定-試験観察
試験観察は、最終処分を保留にして、少年を釈放して相当の期間少年の生活を観察し、どのような最終処分が少年にとってふさわしいかを判断します。
試験観察には、
- 在宅試験観察
- 少年を保護者に引き渡し家庭に置いた状態で、定期的に保護観察官または保護司と面接し生活の様子を報告した上で指導を受ける。
- 補導委託による観察
- 適切な施設・団体・個人に補導を委託し、仕事などをさせながら生活指導を行い少年の変化を観察する。