離婚-財産分与
財産分与
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力をして築いた財産(夫婦共有財産)を分けることです。
財産分与は夫婦共稼ぎの場合は勿論、妻が専業主婦であった場合も請求が可能で、不貞行為などの有責配偶者であっても請求をする事ができます。
財産分与の対象となるもの
財産分与の対象となる財産は共有財産と実質的共有財産です。
審判離婚となった場合
家庭裁判所が事実調べや当事者の証拠調べを行い、強制的に離婚をさせる事ができるほか、親権者の決定や慰謝料や養育費の金額などを命じることができます。
共有財産
特に名義はないが、夫婦が共同で築いた財産
- 夫婦双方が審判離婚を求めた場合
- 離婚に合意はしているものの病気などで調停に出席が不可能な場合
- 感情的な理由で合意ができない場合
- 一旦は合意をしていたが、急な気持ちの変化などで合意しない場合
- 僅かな条件などの内容に合意できず調停不調となった場合
実質的共有財産
夫婦が共同して築いた財産ではあるが、どちらか一方の名義となっているもの
- 土地・建物、自動車、預金、株券など
- 離婚に合意はしているものの病気などで調停に出席が不可能な場合
- 感情的な理由で合意ができない場合
- 一旦は合意をしていたが、急な気持ちの変化などで合意しない場合
- 僅かな条件などの内容に合意できず調停不調となった場合
逆に夫婦がそれぞれ婚姻前から所有している財産(特有財産)は財産分与の対象となりません。
ただし、家や自動車など維持・管理するのにもう一方が貢献していた場合には、その貢献度により財産の分与が認められる場合があります。
財産分与の種類
清算的財産分与
財産分与の中心となるもので、大きくわけると、金銭、預貯金、不動産、動産(車、家具、電化製品等)などになります。 また、夫婦の一方の名義で持っている財産もほとんどを財産分与の対象に含めることが多いです。
扶養的財産分与
離婚によって、ご夫婦の片方の生活が困難になる場合に、離婚後の生活の維持を目的としてされる財産分与を言います。 これは、清算的財産分与と異なり、夫婦で築いた財産がなくても、離婚後の収入・自分の固有財産の中から、相手方に与える必要があります。
また、扶養的財産分与は、生活を援助するために行なわれるものですので、期間が限定され、相手が自分で生活できるようになるまで、ということになります。
慰謝料的財産分与
不法行為を受けた場合における精神的苦痛に対して請求される損害賠償のことで、財産分与には慰謝料を含めることが出来ます。 但し、この場合は、別に慰謝料を請求することはできません。
過去の婚姻費用の清算
婚姻中は、同居、別居を問わず、夫婦は、婚姻費用を分担しなければなりません。
例えば、別居中に婚姻費用はどちらか一方が負担してた場合や、どちらか一方が過剰に負担していたなどの場合、財産分与に含めることができます。
財産分与で注意が必要なこと
財産分与は夫婦双方の話合いと合意で決めますが、財産分与の割合や財産の分与の対象物などで揉める場合があります。お互いの話合いがつかない場合には家庭裁判所に調停の申立を行います。もし離婚前であれば離婚調停で財産分与について話合いをできますが、もし離婚した後の場合には、財産分与請求調停を申立することとなります。
財産分与請求調停は離婚の時から2年以内と期限が決まっているため注意が必要です。
ローンの支払中の財産に対する分与
財産分与で家や自動車などローンの途中の物を分ける場合には、対象となる財産を売却して現金にした上で分与する方法が理想的ですが、ローンの残債が売却額を上回っていた場合や売却する場合にはローンを支払っている金融機関の承諾も必要となるので複雑に場合があります。
一つの方法として、対象となる財産の現在の価値を評価して貰った上で、その評価額から財産分与の割合をかけた金額を相手に支払う方法です。
特に不動産や自動車などは売却損や売却の手数料などを考慮すると安易に売却をしない方が良い場合がありますのでじっくり検討してみることが大切です。
財産分与の時効
離婚後に財産分与を請求できるのは2年間です。
離婚後2年を過ぎると財産分与の請求ができなくなります。(消滅時効)
財産分与でかかる税金
財産分与などで現金や土地・建物、自動車などの分与を受けた場合に気になるのが税金です。
誰かに金銭や財産などを贈与した場合には贈与税がかかりますが、財産分与の場合は贈与としてみなされないので税金はかかりません。
ただし、土地や建物などの譲り渡しを行う場合には不動産を譲り渡した方に「譲渡所得課税」が掛かり、不動産を譲り受けた側には「不動産取得税」「登録免許税」が掛かります。
財産分与について話し合いで解決できなかった場合
財産分与について話し合いでは決着がつかない場合は、家庭裁判所に財産分与請求調停の申立を行い、裁判所で解決のために必要な助言、斡旋をしてもらいます。
また調停でも決着がつかない場合は審判手続で必要な審理を行うこととなります。