未払い賃金
賃金未払
「今月、給料が振り込まれていない」「残業代が全額支払われていない」そんな不安を抱えていませんか? 会社から「今は資金繰りが苦しいから」「来月まとめて払うから」と言われて、待ち続けてしまう方は少なくありません。 しかし、賃金未払いは明白な法律違反です。そして、何よりも注意すべきは「時効」の存在です。 賃金とは労働の対償として使用者が労働者に支払う給与や残業代、休日出勤など割増し賃金などのことで、通常支払われるべき賃金を使用者が支払わなかったり、遅配するなど社会問題となっています。 また多様化する就労形態や勤務体系の中、労働者側は本来支払われるべき賃金を正確に把握できず正当な権利を知らぬまに放棄してるのが現実です。 賃金未払いは「労働基準法違反」です。 労働基準法第24条では、賃金の支払について「5原則」が定められています。
- ⇒通貨払いの原則
- ⇒直接払いの原則
- ⇒全額払いの原則
- ⇒毎月1回以上払いの原則
- ⇒一定期日払いの原則
これらに違反した場合、会社は行政指導の対象となるだけでなく、罰則(30万円以下の罰金)が科される可能性もあります。
消滅時効
賃金(残業代を含む)を請求できる権利には期限があります。2020年4月の法改正により、現在の時効期間は「3年」となっています。
退職から時間が経過すると、本来もらえるはずだった給料が1ヶ月分ずつ、機械的に消滅していきます。 もし退職から3年以上が経過してしまえば、1円も請求できなくなるリスクがあります。
年俸制の場合
年俸制を採用している企業では、経営者や労働者双方に「残業代が出ない(または含まれている)」という誤解が非常に多く見られます。 年俸制はあくまでも労働基準法で規定されている就労働時間、時間外労働、深夜労働、休日出勤などで定められている規程の範囲の労働に対する対価で、この規制を超えて労働した場合には割増賃金は支払われなければなりません。 例外として、事業外労働のみなし労働時間が定められている場合(月 30時間のみなし残業を含むなど)には、そのみなし時間を過えない部分は割増賃金支払の対象外となりますが、深夜残業や休日出勤については割増賃金支払の対象となります。 年俸制における「未払い残業代」の注意点 年俸制であっても、労働基準法の「労働時間・休日・休暇」に関する規定は原則としてすべて適用されます。以下の3つのポイントが、相談者が自身の状況を判断する基準となります。 1. 年俸制でも残業代は発生します 「年俸にすべて含まれているから」という説明は、多くの場合、法的根拠が不十分です。 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合、その分は別途「割増賃金」として支払う義務があります。 年俸額を12ヶ月(または14〜16ヶ月など)で割り、そこから算出された「1時間あたりの基礎賃金」をもとに計算します。 2. 「固定残業代(みなし残業)」の有効性 年俸の中に残業代が含まれていると主張されるケース(固定残業代制)では、以下の要件を満たしている必要があります。
- 判別可能性: 年俸のうち、いくらが「基本給」で、いくらが「固定残業代」なのかが明確に区別されていること。
- 差額支払の原則: 固定残業代として設定された時間(例:月40時間分)を超えて残業した場合は、その超過分が追加で支払われていること。
裁量労働制の場合
裁量労働性は労働時間の管理を社員に委ね、実際に勤務したと関係なく、労働者と使用者の間の協定で定めた時間を働いたとみなして給与を支払う制度です。 定められた時間内に成果を上げれば、通常より短い労働時間を働けば良いが、時間内に成果が上がらなければ、長時間の労働を強いられる可能性もあります。 また制度上出退時間や残業の有無も労働者の裁量に委ねられる筈なのに、実際は出勤時間、退社時間が定められていたり、出勤時間や残業を指示をされる場合が多く、その場合には、裁量労働制は無効となり、通常の残業代の支払い義務が会社には発生します。
裁量労働制で残業代が発生するケース
- みなし労働時間が「8時間」を超えている場合
- 労使協定で決めた「みなし時間」自体が法定労働時間の8時間を超えている場合、その超過分に対しては割増賃金の支払いが必要です。
- 深夜労働(22時〜翌5時)をした場合
- 裁量労働制は「労働時間」の配分を裁量に任せるものであり、「深夜割増」を免除するものではありません。 深夜時間帯に勤務した場合は、通常の1時間あたりの賃金の25%以上の深夜手当を別途支払う必要があります。
- 休日労働(法定休日)をした場合
- 「週1日」または「4週4日」の法定休日に労働させた場合、裁量労働制は適用されず、1.35倍の休日割増賃金が全額発生します。
変形労働制の場合
変形労働時間制(1ヶ月単位・1年単位)は、繁忙期の労働時間を長くする代わりに、閑散期の労働時間を短くすることで、「期間平均で週40時間」に収める制度です。 会社側は「変形労働時間制だから残業代は出ない」と主張しがちですが、実際には計算が非常に複雑で、正しく運用できていない(=未払いが発生している)ケースが極めて多いのが特徴です。 変形労働時間制でも残業代が発生する「3段階」のチェック変形労働時間制の場合、以下の3つのステップで残業代を計算します。 これらが支払われていなければ「未払い」となります。
- 日単位のチェック
- あらかじめ特定された日の所定労働時間が8時間を超える場合は「その時間」、8時間以内の場合は「8時間」を超えて働いた時間が残業となります。 例: 所定10時間の日に11時間働いた → 1時間分が残業。 例: 所定6時間の日に9時間働いた → 8時間を超えた1時間分が残業。
- 週単位のチェック
- 日単位のチェックで残業としてカウントされた時間を除き、あらかじめ特定された週の所定労働時間が40時間を超える場合は「その時間」、40時間以内の場合は「40時間」を超えて働いた時間が残業となります。
- 期間全体のチェック
- (精算時期)変形期間(1ヶ月または1年)の全労働時間のうち、日単位と週単位でカウントされた時間を除いた合計が、「期間内の法定労働時間の総枠」を超えた場合、そのすべてが残業代の対象です。
1ヶ月単位の変形労働制の場合の月の法定労働時間
| 月の日数 | 労働時間 |
| 31日 | 177.14時間 |
| 30日 | 171.42時間 |
| 28日 | 160.00時間 |