不法行為
損害賠償請求-不法行為

不法行為とは故意または過失によって他人の権利を侵害する行為のことでこれによって他人に損害を生じさせた場合には賠償する責任が発生します。損害賠償は、別段の意思表示がなければ金銭賠償が原則です。
不法行為の主な例
- 相手に配偶者がいることを認識した上で肉体関係を持った
- 自宅前に勝手に駐車している自動車を見せしめにパンクさせた
- 酒に酔って自動車を運転して事故を起こし相手に怪我をさせてしまった
- 路上で口論となった相手を一方的に殴って怪我をさせてしまった
- 映画のDVDを著作権者の許可なく複製し販売した上記例では別途刑事事件として起訴される場合もあります。
不法行為に基づく損害賠償請求を行うためには
不法行為に基づく損害賠償請求を行う場合、原告側(被害者)が不法行為の立証をしなくてはなりません。不法行為が成立する要件として以下のものが挙げられます。
- 故意・過失による行為
- 違法行為による権利の侵害
- 損害の発生
- 侵害行為と損害発生との間に因果関係がある
- 加害者に責任能力がある
- 違法性阻却事由がない
故意または過失行為の立証
不法行為成立要件の「故意・過失」による行為があったことは被害者側で立証しなくてはなれません。行為そのものを目撃した人や監視カメラなどに記録されていた場合を除けば加害者の故意・過失を立証することは困難が伴います。
加害者が不法行為を行ったとされることが分かる資料や記録を出来る限り収集し相手の反論の余地を少しでも与えないようにします。
不法行為における故意と過失
不法行為の成立要件としては、故意であったとしても過失であったとしてもその結果には違いがないので、故意か過失かはそれほど重要な基準にはなりません。ただし、損害賠償時には過失相殺の割合や慰謝料請求の算定において考慮はされることになります。
損害額の算定と損害賠償の範囲
積極的損害
現実に支出された費用として入院費・治療費・付添費・見舞費用・墓碑建設費・仏壇購入費・弁護士費用・立替費用などが相当とみられる範囲内において積極的損害にあたるとされる。
消極的損害(逸失利益)
不法行為がなければ得られたであろう利益であり、得べかりし利益あるいは失われた利益
慰謝料
生命・身体・自由・名誉など精神的苦痛を慰謝するための損害賠償金
因果関係の立証
不法行為で損害を受けた場合、被害者は因果関係を証明する必要があります。
これは、「その行為によって損害を受けた、逆にその行為が無ければ、その損害を被らなかった」という受けた行為と損害との間の関係性とその関係が社会通念上相当(一般社会的に観て常識の範囲内)であるといえるもので無ければなりません。
不法行為に基づく損害賠償請求の消滅時効
被害者が不法行為により損害が発生した事実とその加害者を知った時(相手の氏名、住所など)から3年で消滅します。
また被害者が加害の事実や損害を認識していない場合や加害者を特定できない場合には不法行為の時から20年(除斥期間)で消滅します。
民法第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。